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『AKチャター』が完成を加速! 赤松健プロデュース 『AK Buzz』誕生Episode

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2024年9月にリリースされた、赤松健氏プロデュースのバズベイト『AK Buzz(バズ)』

抜群の飛距離、早い浮き上がり、金属音、水音を立てて水面を引っ掻き回す。これが赤松氏が描いたバズベイト
水面にバスを誘い出す『AK Buzz』

「特殊構造」により「超遠投」「早い浮き上がり」「高い回転効率」「初期性能の維持」を可能にした画期的なバズベイトだが、完成までには越えねばならないいくつもの壁があった。

赤松氏入魂のバズベイト、その開発経緯と道のりに迫ってみよう。

【バズベイトの不思議な力】

ペラで水面を引っ掻き回しながらにぎやかしく泳ぐバズベイト。

この派手派手しい存在感がバスを強く刺激してバイトを誘ってヒットへとつなげてくれる。

朝マズメや夕マズメ、バスが高活性で水面を意識しているときに効果的といわれており、その効果を発揮するタイミングは限られるものの、水面で食わせる楽しさと相まって必携しているアングラーも多い。

赤松氏も多分に漏れずバズベイトを長年愛用しているが、当時から不思議な力を感じていたという。

「小さなワームですら反応しないときに、バズベイトを投げるといきなりバスがチェイスしてきたり、食ってくることもあったんです」

はっきりとした要因はつかめない。だが、バズベイトは不思議な力を持っている。

そのうっすらとした感覚がのちに『AK Buzz』を誕生させる起因になった。

【まったくダメから一転!】

時は流れ、赤松氏がISSEIのプロスタッフとしてルアービルドを手がけるようになったころ、ふとバズベイトに対しての感覚が蘇った。

「遠くまで投げられるバズベイトがあればこれまで引き出せなかった魚を引っ張り出せるかも?」

一般的にバズベイトは飛距離があまり出ないルアー。

これを解消しようと、赤松氏はさっそくバズベイトを試作。

飛距離が出せるよう、ウエイトを14gに設定。飛行姿勢が安定するインライン構造を採用してみた。

最初の試作モデル。飛距離はクリア。しかしバズベイトとしては課題が多い状態

「狙いどおりにぶっ飛んでくれましたし、ペラの回転も悪くはなかったんですが、使えるバズベイトではありませんでしたね」(苦笑)

試作バズベイトは重さゆえにすぐ沈んでしまうだけでなく、水面まで浮き上がらせて泳がせるには5m以上引いてやらないとダメだった。

これでは遠投できても5mのロス。

赤松氏から見れば理想とした「遠投できるバズベイト」とはいえなかったのだ。

問題点解決のため、全長が違うものを作ってみたり、シンカー、ペラの形状をさまざまに調整したり、ワイヤーの太さなども変えてみたりしたが根本的な解決には至らなかった。

全長を変えたり、シンカーの形状を変えてみたり試行錯誤。ペラの黒い塗料が剥がれているのは現場でペンチで幾度も曲げて調整した跡

よく飛ぶが使いづらいバズベイト…。

次の展開を考えているうちにロケやそのほかのルアー造りが忙しくなり、バズベイト造りは一時封印となってしまった。

事態が再び動きはじめたのは赤松氏がある試しごとをしたときだった。

『AKチャター』を改造しようと考えて、2段ブレードを試してみたんです。これはすぐに水面に浮き出て使いものにならなかったんですが、同じ効果が出せるようにブレードを付ければあの重いバズベイトが浮きやすくなるのでは? と試してみることにしました」

赤松氏が手がけた『AKチャター』。このブレードが『AK Buzz』の完成を加速させた

この思惑がピタリとハマって飛距離が出せるだけでなく、ブレードのおかげで浮き上がりが驚異的に早くなった。

ブレードを付けた試作モデル。これが飛躍的な進展へとつながっていく

このことが『AK Buzz』の特徴のひとつである、2枚1対の薄いステンレスペラ誕生へとつながった。

バズベイトのペラを造るうえで、回転効率と浮き上がりの早さは必須なのだが、この2つは相反する要素。

このため2つの妥協点がペラ設計のゴールになりがちなのだが、ブレードのおかげで浮き上がりの早さが確保できたので、ペラは回転と水の攪拌に振り切った設計ができるように。

「より水を攪拌するため薄い2枚1対のステンレスペラにしたところ、早く力強い回転を生んでくれました。水とエアを噛む音もよかったんです。それと2枚のペラが回転時に当たって金属音を発生させるのですが、その音がとても微細で滑らかでした。僕は『甘い』と表現しているんですが、この甘い音がバスを刺激してくれます」

AKチャターのブレードを付け、2枚1対のステンレスペラを搭載した試作品。ここから細部の検証がスタート

完成が見えてきたバズベイトは赤松氏の狙いどおりこれまでのバズベイトでは届かなかった場所を思い通りに攻めることができて釣果も上々。

かねてより感じていた、ほかのルアーで釣れないときにバスを引き寄せる効果も各地で試して確信を得た。

使いにくいバズベイト。

それが一転して釣れるバズベイトへと変貌したのだ。

【研磨につぐ研磨】

製品化を目指して、師・村上晴彦氏に試作のバズベイトを見せると「ええやん」とすんなりOKが出たが、「でもな…」と指摘もあった。

「村上さんが気にされたのはバズベイトの強度と工程でしたね」

自分で作る場合は多少もろくてもいいし、複雑な工程でもかまわないが、工場で作業者が作るなら強度が必要でわかりやすい構造と工程にしないといけない。

赤松氏はこの部分を解決すべく取り組んだ。

理想のバズベイトを目指して妥協することなく細部の検証、パーツの吟味、工程の組み立てのトライ&エラーを繰り返した。

強度と安定した回転効率を確保するため、ペラとリベットの間にステンレスビーズを入れ、リベットもステンレスを採用。

ちなみにバズベイトの各パーツに使われる素材は一般的には軽量のアルミが多いがステンレスを採用したのには理由があった。

「アルミのペラとリベットは回転すると擦れて摩耗するんです。それで音に変化が出て、その音がバスに効果的だったりすることもあります。だから『育てるルアー』と言われるほど歴史ある【バズベイト文化】があるんですが、『AK Buzz』は安定した回転効率と初期性能の維持に重きを置きました」

使っているうちに磨耗してキノコ型だったものが平になってしまうアルミリベット
素材を耐摩耗性が高いステンレスに。赤松氏は初期性能の維持を追い求めた

ブレードも再検証。

テスト段階で『AKチャター』のものを使用してベストだと確信できていたが、よりベストなものがあるかもと、多種多様なブレードで検証を繰り返したという。

「結局、AKチャターのブレードがベストでした。でも最終的に確固たる自信が持てましたね」

カラーに関しても、いろいろなものを試して、シルエットがくっきりするものを厳選。

工程も確立できたが、ここで終わらないのが赤松氏。

2023年のフィッシングショーから待ち焦がれていたアングラーも多いのではないだろうか? 2024年、ついにリリース!

「村上師匠のバズベイトの意匠も継承させてもらいました。かつて師匠が造った『ハマバズベイト KONOHA』(常吉)というバズベイトには、左カーブ(L)、右カーブ(R)があったのですが、そのシステムを『AK Buzz』でも採用しています」

「あっ!」という声が響きそうな『ハマバズベイト KONOHA』
『AK Buzz』は2タイプから選べる。カーブを描くメリットをヒットへつなげよう

バズベイトは護岸際を通すことも多い。このため際ギリギリにキャストしたいのだがなかなか難しい。

そこで少し離れたところに着水しても、バズベイトの泳動がカーブすることで魚が潜むスポットへ引き込める。

カーブしている護岸際もきれいにトレースしやすい。

「おいしいところ」を逃さず通せるというわけだ。

たとえば沖からカバーの下へうまく引き込みたいときにその性能が活かされる

赤松氏の構想に村上氏の意匠も合わさり完成したのが『AK Buzz』である。

ぜひ、圧倒的な飛距離、これまで攻めきれなかった場所を攻略する快感を味わってほしい。

20:45から『AK Buzz』について赤松氏が解説!
赤松氏の解説とともに実釣シーンもチェック!

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