『AKチャンク』。
その完成までの道程は、順風満帆だったわけではない。
むしろ赤松は当初「不可能」とすら考えていたという。
越えられぬポークの壁、それをいかにして越えたのか?
そこには師・村上晴彦の存在があった。

【ポークの動きはワーム素材では再現不可能】
赤松が不可能と考えた理由はこれだった。
ポークが生み出すのは、予測不能で、不規則なアクション。
これは素材の「豚の皮」が持つ特性が起因となっている。
豚の皮は、個体によって厚み、やわらかさ、脂の乗りが異なる。
脂が多ければやわらかく、皮が厚ければ硬くなる。
つまり、アクション後に曲がったまま、あるいは伸びきったままだったりと、静止状態が毎回のように異なる。
その状態から鋭く動かせば、あるときは強烈に水を押し、またあるときは水を切るように抜けていく。
この“揃わなさ”こそが、ボトムリアクションでバスを口使わせる要因だと、赤松は実釣を通して実感していた。
一方でワームは、どうしても復元力が働く。
動かしても、止めても、形が整う、規則的な動きになる。
これだと相反してしまう。
ゆえに「ワームでポークの動きを再現することは不可能に近い」。
赤松はそう結論づけていた。
しかし、その結論は師である村上晴彦によって覆されることとなる。
【村上の発想が不可能を可能に】
村上は赤松から話を聞いたうえで、手がけた試作のワームを見せた。
それはテールの裏に設けられたリブが斜めとまっすぐを交互にカットしてあった。

斜めと直線を交互に刻むという些細なディテール。
「このカットの仕方によって、テールがねじれたり、毎回違う方向に動いたりする。意図的に、複雑なアクションが出るようにしてあったんです」
整う動きではなく、揃えない動き。
テールがねじれ、もつれたまま静止、その状態からまた動き出す。
これが村上が導き出した、ポークが生み出す予測不能な動きをワームで再現するための答えだった。
また赤松が水押しの強さを求め、テールの先に厚みを持たせたいと提案。
これが取り入れられ、「狙って作れないはずだった動き」を意図して生み出す『AKチャンク』が形になりはじめた。
【これが村上晴彦のワーム造り】
テールの形状が定まったが、村上よる“造り込み”は続いていった。
「ポークをチョン掛けで使うとフリーに動くのでその動きが効くと感じることがあったんです。これを村上さんに伝えると形にしてくださいました」
村上はボディと三角形のようなヘッドの間に大きなくびれを設けた。
「このくびれがフックに干渉されない位置だったんです。完全な関節ではないけど揺れてくれる。デザインに溶け込ませながら機能を追加する。これが村上流のワーム造りなんだと学びました」

続いてボディにサイドにある左右合わせて6本の脚は村上独自のアイデアだという。
「急発進、急停止に影響するので僕はいらないと言ったんですが、村上さんが“絶対にあったほうがいい。これだけで誰でも釣れるようになる。いらないならちぎって使えばええやん”ってつけられたんです」
のちに、この脚が効いてるときがあることに赤松は気づいたという。
6本の脚が水をかみながらゆっくりフォールさせるとパタパタパタって脚が揺れるし、ズル引くだけで脚がパタパタパタと動く。

それが効く。
赤松は村上の言葉を体感した。
「この2つを造りながら学んだことはすごく大きかったですね」
こののち、『AKラバージグ』『AKチャンク』をそれぞれダウンサイジングした『AKラバージグJr.』と『AKチャンク』3.4インチが登場となるのだが、それはまた別の機会に紹介しよう。
