『ピンクロウスティック』はISSEIで最初にリリースされた3つのワーム(残り2つは『スパテラ』『bibibiバグ』)のひとつ。
どういった経緯で誕生したのだろうか? その知られざるエピソードを村上氏に聞いてみた。
「これはスティックベイトにザリガニというモチーフを落とし込んで造ったワームです」
一見すると形状はザリガニが想像できるが、水中での動きはザリガニを真似たものではないという。
「もともとスティックベイトのテールをダブルのピンテールにしたものがフワ釣りで効くことを確信できてたんですよ。そこにISSEIの立ち上げが重なって、ロゴでもある、Green Crayfish(ザリガ二モチーフのデザイン)のイメージが合わさったって感じですね」
スティックベイトというと、シャッドやフィンなど小魚をイメージしたテールを持ったものも多い。実際に村上氏がかつて手がけた、スティックベイトの『スティックシャッド』(常吉)もシャッドテールを搭載している。一方で『ピンクロウスティック』は甲殻類の触角がテールになっている。テールというワードから「尾」をイメージしやすいが、それはイメージなだけ。触角であってもなんの問題もない。
「2本のピンテールがザリガニの触角だとひらめいて、そこから全体的な形状がいろいろ脳内を巡りました」
スティックベイトは棒状に近いワームなので、デザイン的には爪や長い脚を持つザリガニとはかけ離れている。しかしそんな2つを村上氏は見事に融合させてしまった。
だが、それだけで完成とはいかなかった。
「スティックベイトだから本来、脚はなくてもいいんですが、片側に3本ずつ、6本の小さな脚を付けたんです。意味不明な脚に見えるんですが、ゆっくり引っ張ったらピリピリと動く。魚には何か動いてるぞと感じさせることができる。僕はエビのエラの動きをイメージしてるんです」
生きたエビを水中で見ると、たしかにエラを動かしている。しかしごくわずかな動き。それが魚にどんな作用をもたらすのだろうか?
「たとえばモエビを使ったエサ釣りをするとわかるんですが、活きがいいエビと、弱ったエビだと魚の食いに格段の差が出ます。もちろん活きがいいほうが釣れます。活きのいいものはエラも動いている。あの脚には魚にワームが活きているもののように思わせる効果があるんですよ」
またこの脚が生み出す動きには副次的効果もあったという。
「ブルーギルがこの脚が大好きみたいでついばむんですよ。そのときにワームを引っ張るのでイレギュラーな動きになる。これが効くのか、そのあとにバスがアタってくることがよくあるんです」
柔軟な発想が生み出した『ピンクロウスティック』。小さな脚による魅惑の誘いを体感してみよう。
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高比重の『ピンクロウスティック 4in ヘビーソルト』も2023年にラインナップ入りしている。