このロッドは、ISSEI海太郎のSWライトゲームロッドのひとつ。
村上氏は「レベリングロッド」または「レベリング2」と呼び、ショアでのメバル、アジを中心にオフショアでのライトな釣りにも愛用している。
リリースされたのは5年も前なのだが、モデルチェンジすることなく、現在も多くのアングラーから高い支持を得て、愛用されている。
ロングセラーにしてベストセラー。
そんな「レベリング2」にスポットを当ててみよう。
【銘ロッド初代レベリング】
「2」という呼称から分かるように、このモデルは2代目。
初代の登場は2016年。
「小さな魚が掛かっても大きく曲がって楽しめるロッド = 雑魚ingロッド」
そのコンセプトのもとに誕生したのが、海太郎 「碧」IUS-70XLS-LV「レベリング」だった。
村上テイストがふんだんに盛り込まれた柔軟な調子で、ティップからバットまで淀みなくベンディングする。
ルアーをリトリーブすれば引き込むアタリに追従してティップから曲がり込むのでオートマチックなフッキングへと持ち込むことができる。
そしてヒットさせたのちは15cm未満のメバルやアジでも大きく曲がってアングラーを楽しませてくれる。
また、この柔軟性は魚を怒らせない(※)ので、ライトゲームでふいにヒットしてくるシーバス、チヌ、マダイといった基本サイズが大きめの魚もいなしながら細いラインでのランディング率を高めてくれた。
※)硬い竿は反発力が高いので魚への抵抗感も大きく魚を怒らせてしまいやすい、細いラインを使用しているときは結束部切れなどにもつながる
「大好きなロッドのひとつ」
村上氏にそう言わしめた銘ロッドだったが、当時のライトゲームシーンは反響感度を重視した「張り」が強めのモデルが主流で、柔軟性に富む初代レベリングは張りが強めのロッドに慣れたアングラーにとっては「異端」と受け取られてしまった。
“誰もが使いやすいロッドであることが碧には必須”
銘ロッドだが、レベリングはフルモデルチェンジへと進むこととなった。
【レベリングらしさを追求して】
どういったロッドに仕上げていくのか?
ISSEIのマーケティング部からは「現在の主流に合わせた張りのある先調子のロッドにするべき」という要望が出された。
それでは「レベリングらしさ」が損なわれてしまう。
淀みなく曲がることを前提に、操作性も向上させるには?
ブランクスを試作していくなかで、あるロッドが解決の糸口となった。
【海太郎 「碧」IUS-70ULS-HN「ハネエビ」】
である。
レベリングと並ぶSWライトゲームロッドで、レベリングとは真逆のルアーをキビキビアクションさせる、掛けアワせる釣りに適しているものだった。
「当時ハネエビもモデルチェンジしようとしていて、いくつか試作を作っていたんですが、少しパワーを抑えたしなやかなブランクスも試作してみたんです。それが頭に描いていた新しいレベリングロッドに近いものだったんです」
その試作をベースに調整を重ね、独自のガイドセッティングを試し、ロッドとしてのベストバランスが引き出せるよう突き詰めた。
しなやかなかつ繊細なティップは食い込みのよさはもちろん、魚がルアーを咥えたときの負荷を曲がることで目に伝えてくれた。
また、初代に比べてバット部には張りを持たせたのだが、この張りが全体的な操作性の向上へつながった。
一方で曲がりのスムーズさは健在。バットまで曲がったところから驚異的な粘りを発揮。ふいに食ってくる良型の魚にも対応できた。
こうしてレベリングらしさをしっかり継承した2代目が完成。2019年リリースとなったのだ。
【そして主流へ】
村上氏の理想のロッドにはなったものの、当時主流だった穂先まで張りがあるロッドとはやはり違うためレベリング2はまたも「異端」として受け止められた。
”早期のリニューアルが必要では?”
マーケティング部からはそんな意見も出されたが、村上氏はレベリング2を変えるつもりはなかったという。
ロッドは曲がるから楽しいし使いやすいという氏の確固たる信念もあったが、小さな魚が掛かっても楽しく、ちょっと大きな魚が掛かっても怒らせずファイトできるとか、細いラインをいたわることができる安心感。そういったメリットが大きく、結果的に誰でも扱いやすいという碧のコンセプトをしっかり具現化していたからだ。
この村上氏の考えに時代が追いついたのか、はたまた偶然かそれまでのライトゲームシーンにも変化が訪れた。
だんだんと感度としなやかさを併せ持ったライトゲームロッドが登場していき、ついには主流となったのだ。
このため、リリースから5年経過しているが「レベリング2」は現在のライトゲームシーンに非常にマッチしたものになっている。
ロッドは5年程度でフルモデルチェンジがかけられることが多いが、レベリング2がそうならず、ロングセラー、ベストセラーになっているのにはこんな理由があるからなのだ。
しかし当の村上氏は「さすがにそろそろフルモデルチェンジかな」と口にしはじめている。
すでに新しい「レベリング3」のイメージが浮かんでいる模様だが、登場はまだまだ未定。
まずは村上晴彦謹製「レベリング2」で味わい深い釣りを体験してほしい!
【ISSEI的 レベリング2の使い方】
『レベリングヘッド』シリーズと海太郎各種のワームを組み合わせたジグヘッドリグでの釣りがメインとなります。リトリーブしてアタったときは、しなやかなティップが曲がり込んでアタリを目に伝えてくれます。そのままオートマチックなフッキングへ持ち込むことができ、魚のウエイトをしっかりバットに乗せてやれば小型でも楽しく、ライトゲームでふいにヒットしてくるシーバスやチヌ、マダイも40〜50cm程度なら怒らせずじわじわと浮かせることができます。(取り込にはドラグ調整、玉網が必須です)。
リフト&フォールの釣りでは繊細なティップの曲がりを活かしてアタリをとることができます。フォール時のテンションをティップにかけておけば、ごくわずかに曲がるので、魚が食って潜れば曲がり込み、魚が食い上がれば負荷が抜けた感触をつかむことができます。反響するアタリとは違う、たまらない感触が味わえます。このときのアワセはバットパワーでフックが掛かるように少し強めに入れましょう。そのままバットが曲がり込む心地よさを味わってください。
『アメミノー』各種『アメペン』などプラッギングでもしなやかなティップと粘り強いバットが活躍してくれます。引き込まれるアタリに対しての追従性が高いのでスムーズにフッキングへ持ち込めます。一方でプラグの釣りはフックが多く、どのフックがどう掛かるか読めないので魚の顔に浅くフックが掛かることもしばしば。この状態はバレやすいのですが、そんな場合でも曲がって粘るバットが身切れ、鈎ハズレを軽減します。
『ネコメタル』『ハネエビ』などももちろん使えます。『ハネエビ2』とは違う、レベリング2独特のしなやかさを活かした「やわらかめアクション」で誘うことができ、このアクションだからこそ釣れたということも多いです。
投げる、操作する、魚を掛ける、魚とファイトするすべてが楽しめるロッド、それがレベリング2です。