Skip to content
プロアングラー・村上晴彦&赤松健を擁する
ルアーブランド・ISSEIの情報サイト

Murakami Haruhiko History 第8回「村上青年、躍動する」

〈この記事を音声読み上げで聴く〉

初の取材をキッカケにその後、「釣りサンデー」でも取材を受けるようになった。

村上青年は自分が考案したリグやメソッドを誌面で紹介していった。

実はこの時点ですでにネコリグは完成していたが、まだ世には出したくないとひた隠しにしていたという。

「担当編集者の服部さんには事前にネコリグの仕組みや効果はお伝えしていたんですよ。服部さんも『これはすごい、おもしろい!』と言ってくれていましたね」

村上氏によるネコリグ解説。水中映像も公開!

いつかは公表すべきだが、まだまだその時ではないと村上青年は考えていた。

しかしネコリグの存在を気取られるようになってきた。

それもそのはず。誌面に登場すれば知名度が上がる。

同時に「村上晴彦はブラックバスをよく釣る男」という認識にもなる。

釣り場でなにをやっているのかは気になるところ。

このためひとたび釣り場に立てば、それに気づいた周囲のアングラーは釣り方やリグに目を向けられるし、会話にも聞き耳を立てられるようになってきた。

「ネコリグ」を知られたくないあまり「常吉リグ」を考案して発表したというのは有名なエピソードとして知られている。

常吉リグはネコリグを隠すためだった!

ちなみにその「常吉リグ」も高い釣獲力で大反響を呼び、バス釣りシーンを大きく変えたが、それ以上に「ネコリグ」は秘密にしておきたいリグだったのだ。

「それでももう隠せないな〜と感じたことがあったんですよ。ネコリグを発表する年の2月に服部さんから琵琶湖でバスボートに乗って釣りしようと誘ってもらったときでしたね」

バスボートに乗るのは初めてだった村上青年は期待に胸膨らませてボートに乗り込み出発したが、予想外の出来事に遭遇。

服部氏は漁港に立ち寄っては知り合いをボートに乗せていったのだが、いずれもバス釣りに精通したアングラーだったのだ。

スキルが高いアングラーは観察力も鋭い。

村上青年がバスを釣っていると『よく釣れますね』とか『どうやっているんですか』とこまかく聞かれ、じっくり観察もされたという。

「バレたくないのでとぼけたり、リグを替えたりしてごまかしましたね」(苦笑)

その後もネコリグを隠しながら「釣りサンデー」で、さまざまなメソッドを紹介してネコリグへの意識を分散させようとしたが、それも難しくなってきた。

村上青年は服部氏に、もうバレそうなので紹介したいと伝えると、服部氏は本とビデオで紹介する段取りをすでにとってくれていたという。

「でも、ネコリグが流行りすぎるのもなと思って、本とビデオを観た人がネコリグを強く意識しないようにネコリグ、常吉リグ、極小ガン玉フットボールリグを同時に紹介したんです。たしかビデオは、『おそるべしスーパーセコ釣り』だったと思います」

当時の貴重な写真が残っていた。このビデオを機にメディアでの活躍の場が増えていった

当時は釣りのビデオ販売が珍しい時代だったが、ついに公開されたネコリグを知ることができると大ヒット。バス釣りファンがこぞって取り入れ、現在は誰もが知る必釣リグとなった。

この「セコ釣り」というスタイル「常吉リグ」「ネコリグ」の公開はのちにやってくる空前のバスブームの火付け役を担った。

同時に「村上晴彦」の名は「バスをよく釣る人」から、「新たなリグやメソッドを生み出す人」として世に広まり、いつしか「オカッパリゲームの天才」と称されるように。

そしてプロアングラーへの道へとつながっていくのだった。

続く

誌面に登場するだけでなく単独でムックも発行。現在では入手困難かも?
元祖が魅せる常吉リグメソッド
次世代にもしっかりと継承されているネコリグ。佐藤リョーキ氏の実釣映像
Murakami Haruhiko History
1. ここまで聞けるのはISSEI TIMESだけ! 連載【Murakami Haruhiko History】が始まります!
2. Murakami Haruhiko History 第1回「村上少年、釣りに目覚める」
3. Murakami Haruhiko History 第2回「村上少年、釣りにハマる」
4. Murakami Haruhiko History 第3回「村上少年、ブラックバスと出会う」
5. Murakami Haruhiko History 第4回「村上少年、バスフィッシングにハマる」
6. Murakami Haruhiko History 第5回「村上少年、進路を決める」
7. Murakami Haruhiko History 第6回「村上青年、バス釣りから離れる」
8. Murakami Haruhiko History 第7回「村上青年、メディアの目に止まる」
9. Murakami Haruhiko History 第8回「村上青年、躍動する」
10. Murakami Haruhiko History 第9回「村上青年、休みなきアングラー生活」
11. Murakami Haruhiko History 第10回「プロアングラー・村上晴彦誕生!」
12. Murakami Haruhiko History 第11回「村上晴彦、それからとこれから」
13. Murakami Haruhiko History 外伝 其の壱 「常吉」と「村上晴彦」
Related Articles

えっ? ブレードが苦手な村上晴彦が「ブレード」造り?

山口県岩国市沖を発祥とした「ブレードゲーム」。 これはメタルジグのリアに小型のブレードをセッティングした「スピンテールジグ」を使い、高速リトリーブアクションで青物やサワラにジグを食わせるという釣り方である。 ISSEIに…

Murakami Haruhiko History 外伝 其の弍 村上晴彦が「勝つための釣り」をした日

大会やトーナメントなど「競う釣り」にはとんと興味のない村上氏だが、プロアングラーとして活動するよりもずいぶん以前、燃えに燃えて挑んだ大会があったという。 「その大会はエキスパートだらけとか、競技志向のトーナメントとかでは…

Murakami Haruhiko History 外伝 其の壱 「常吉」と「村上晴彦」

村上晴彦氏の歩みを辿るうえで欠かせないワードはいくつもあるが、「常吉」はその筆頭だろう。 プロアングラーとして活動するずっと以前から自身が使ってきた愛着のあるワードでもあるからだ。 「はじまりはエノケン(※)と立ち上げた…

トップへ戻る
error: Content is protected.