メタルジグの多くに採用されているホログラムシート。見る角度によって千変万化のフラッシングを生み出し、シートにカラーを上乗せすることで、幅広いアピール力を持たせることができ、さまざまなベイトの姿も演出しやすい。
ホログラムシートにはドット柄、ボックス柄、クラッシュ柄など、いくつもの柄パターンがあるのだが、村上氏にはかねてから実現したい柄のホログラムシートがあった。
それは「魚の腹の筋肉」を模した柄。理想は青魚の腹。イワシ、アジ、サバなどである。これらはターゲットのベイトにもなっている魚だ。
「筋肉の上に魚皮、それでウロコが重なって独特の模様と光沢を造り出すんですよ。釣ったアジの腹の筋肉がきれい見えるときは、たまらんな〜と思います。ホログラムなら、それに近いものができるだろうと思いました。で、ホログラムシート製造のプロフェッショナルメーカー『村田金箔』さんに協力してもらい、造ることになったんですよ」
完成までにはかなりの時間を要したと村上氏。腹の筋肉をイメージするデザインは描いたが、ホロの輝き方に納得がいかなかったという。
「アワビの貝殻の裏の光沢あるでしょ。あの光り方が理想やったんですよ。やっぱ難しいんかな〜と思っていたけど、村田金箔さんの技術のおかげで満足いくものができました」
これを村上氏は「筋肉ホロ」と呼んでいる。
できあがったシートを当時リニューアルさせるべくテストを進めていた『海太郎 ネコメタル』にまとわせると、そこにはまさに青魚の腹の筋肉が再現され、最高のリニューアルとなった。
「筋肉ホロをまとわせるだけでも十分よかったんやけど、もっと生命感を持たせようと思って、トップヘビー側だけ魚の顔を描くことにしたんです。実在してへん魚やけどね。僕の手描きをベースにしたデザインです」
村上氏はルアー造りにおいて生命感を持たせることをとても大切にしている。筋肉ホロも魚のデザインもそのためのものなのだ。
「できあがっていくと無機質だったものに生命が宿るんです。そんでルアーになる。水中で動く姿が想像できるようになってきて、造り手もワクワクするんですよ。その感覚はユーザーにも『これは釣れるぞ』ってワクワク感を持ってもらえると考えてます」
今後も村上氏の創り出すルアーに宿される生命感が楽しみである。
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