爆釣しても苦手な魚?
実は村上「タチウオは苦手」と公言する。
村上に「苦手」と感じさせる魚が存在していることが意外である。
タチウオのなにが苦手なのだろうか?
その理由は自分の中で釣り方と釣果が「しっくりこないこと」が多かったからだという。
過去タチウオ釣りにはよく行っていて、エサ釣りでもルアーでも爆釣したことが何度もあったそう。
しかしイメージ通りではないのに入れ食いになることがあった。
そういうことが多くなってくると楽しさが感じられなくなり、「タチウオには縁がないのだ」とまで思ってしまったそう。
そんなこんなで狙いに行かなくなってしまったという。
釣果とイメージが一致しないから楽しくないとは村上らしい。
そんな縁遠さを感じていた魚との距離がなぜ再び近づくことになったのだろうか?
きっかけはギルフラット
タチウオとの距離が縮まるきっかけとなったのは意外なものだった。
なぜならそれはバス用ルアー『ギルフラット』だったからだ。

『ギルフラット』はボディにマンゴーカットが施され、水中で泳ぐその姿は心地よいほどの魚らしい泳ぎを見せる。
村上はこの成型技術を使って、スリムボディで気持ちよく泳ぐワームを作ろうとひらめいた。
同時にマッチするジグヘッドも思い浮かんだので同時に作ることに。
いつものことだが、村上は欲求がすぐ行動へ反映される。
こうして誕生したのが『海太郎 スイミング根魚玉』と『海太郎 カタクチワーム』 4・5インチである。
しかしこの時点でもいろんな魚に効くだろうと漠然と思うだけで、タチウオは意識にはなかったそう。

村上はこのルアーでオオモンハタ攻略を想定していたからだ。
オオモンハタはほかのハタ類に比べてエサを追尾するレンジが広くてスイミングアクションが効く。
スイミング根魚玉とカタクチワームのコンビは艶かしいアクションを生み出し、本命のオオモンハタをはじめ、多くの魚を村上の手にもたらした。
こうしてすっかりタチウオのことを忘れていたのだが、ある日、タチウオ釣りに行かねばならなくなった。
釣果とイメージの合致
村上はその日のタチウオ釣りでスイミング根魚玉とカタクチワームを投じてみた。
釣れるという予測はあったが、それ以上の好釣果を得ることができた。
そして釣果以上に村上を刺激したのはタチウオの釣れ方だった。
ルアーの動きとそれを食ってくるタチウオの動きがピタリとイメージできたのだ。
釣果とイメージがともなうことで、あれほど縁遠いと思っていた魚が一気に急接近してきた。
そうなると村上いわく“ちゃんとしたものが欲しくなる”で、専用ルアー誕生へとつながっていった。
タチウオ仕様にするにあたって一番の課題はフックセッティングだったという。
テンヤと同じ下向きのアシストフックが必須で、それにはシングルフックがいいと村上は自身が監修した、カルティバ『ジャングルワッキー』をアシストフックに用いてみたところベストマッチだった。

これを下向きにしてセットしておくと、タチウオがルアーの下方からバイトしてくるのにうまく対応してくれたという。
また、ヘッドとフックをつなぐワイヤーも吟味。
適度にたわんでくれる硬さを採用。
タチウオはワームに絡みつくようにアタってくることも多いが、この適度なたわみがアタリに追従してくれるので鈎掛かりをサポートしてくれるという。
ここまでくると村上の脳内ではヘッドやワームのカラーも専用のものが勝手に生まれてくる。
ヘッドを夜光にして、ワームも夜光やケイムラをベースに専用カラーを3色作った。
ヘッドとワームの2つが発光すれば、真っ暗な海中でタチウオにしっかりルアーを見せることができる。
マテリアルもタチウオの歯の対抗できるよう、通常より硬めのものを採用。
タチウオはルアーへはショートバイトで終わることが多いという経験から、集魚材を添加してバイトが深くなるようにも仕向けた。


やるならとことんまで。
長年マイナスイメージだったものが、ちょっとしたキッカケで一気に反転し、新しいルアー誕生へとつながる。
これが村上晴彦のモノ作り脳である。
ちなみにこのルアー、ショアだけが活躍のフィールドではない。
水深20m以浅を狙う「福岡県博多湾のボートタチウオ」に驚きなほどマッチするのだ。
手返しのよさや、アクションの強弱、カラーローテと多彩なアプローチが可能なのと、ワームならではの食い込みのよさが、ときにはメタルジグ、エサ釣りを凌駕する釣果を上げることもある。
なかでも28gは博多湾での釣りを経験した村上が「必要」と判断して造った「博多湾スペシャル」といってもいいジャストっぷりをみせる。
タチウオが苦手だと公言する村上が本気で釣るために造ったタチウオ専用ルアー、その効果はぜひご自身で体感してほしい。
