ISSEIには、バス釣りカテゴリの「Green Crayfish(以下:G.C.)」と海釣りカテゴリの「海太郎」があるのだが、『キャラメルシャッド』と『海太郎 キャラメルシャッド』のように、形状も製品名も同じものがそれぞれにラインナップされている。
これらはどう違うのだろうか? ISSEI開発スタッフに回答してもらった。
「色を変えただけでは? と、捉えておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、ISSEIのワームはバス用、海用で素材の硬さ、比重、塩の含有率まですべて変えています。カラーラインナップもバス用と海用ではまったく違う考えで構成されています」
形は同じでも中身は別物というわけだ。
では、なぜ同じ形のものをバス用、海用ともにリリースすることになったのだろうか?
「ルアーはフィッシュイーターの本能にうったえるものなので、釣れるもの、つまり魚の反応を引き出せるルアーの形や動きはバスだから海の魚だからと大きくは変わらないというのがルアーデザイナー・村上晴彦の考えなんです。だからバス用に製品開発を進めていても『これってロックフィッシュとかフラットフィッシュにもいけんちゃうかな〜』なんて話はちょくちょく上がりますし、逆のパターンもよくありますね」
では、バス用、海用で素材の硬軟や比重などを変えているのはどういった理由なのだろうか?
「バス、海それぞれのフィールドで使いやすく、能力を最大限に発揮させるためです」
バス釣りではワームをノーシンカーで使うことが多く、フォールさせてバスを誘う場合も多々ある。フォールでバスの興味を引くにはワームがきれいな姿勢で沈みながら、ナチュラルな動きも生み出さないといけない。そのため若干、海用よりも比重を高くして、素材を軟らかくしてあるという。これでスムーズに沈みながらも艶かしい動きで誘うことができる。
一方、海ではシンカーを必ず使うので比重にシビアである必要がない。それよりもフルキャスト、フルフッキングする、深場や潮の流れが強い場所で力強くアクションさせることが多いので、ワームがフックからズレにくい、フックへのキープ力の高さが肝要。このため素材がバス用よりは硬めになるというわけだ。
「硬いといっても極端な差ではないですけどね」
些細な差かもしれないが、使うべき場所で使いやすい仕様にという配慮はユーザーとしてはうれしいところ。
では次にカラーラインナップはどのように決められたのだろうか?
「ターゲットのベイトに合わせたり、光量、水色に合わせてアピールの強弱をつけられるものとして設定しています。一部同じものもありますが、基本的には大きく違います。そこは村上の中で、バス釣りと海釣りへの考え方に違いがあるんでしょうね」」
そういえばパッケージもバス用と海用では違う。
バス用のキャラメルシャッドはワームがトレイに1個ずつ分けられて入っているが、海太郎 キャラメルシャッドだとひとつのトレイにまとめて入れられている。
「これは素材が違うからですね。バス用のワームは素材が軟らかいので型崩れしないように1個ずつ分けています。前述したようにノーシンカーで使うときは形のきれいさがとても大切ですからね。逆に海用のワームは素材が硬めだから型崩れに強いんですよ。だからひとつのトレイにまとめて入れても問題ありません」
こうしてパッケージを分けることでワームの性能を最大限引き出しながらも使いやすいようにしてあるのだ。
ではバス用を海に使ったり、海用をバス釣りに使うのはNGなのだろうか?
これは村上氏に回答いただいた。
「まったく問題ないですよ(笑)。僕は海とバスであんまり区別はしてなくて、ケースバイケースで使っています。海用に造ったルアーがバスに効果的なこともあるし、逆もよくあるんですよ。ジャンルに応じて使ってもらいやすいように分けているだけで、それぞれの特性を理解すればどっちにも効果的に使えるでしょうね。でも、一番は自由な発想で楽しんでもらえたらと思っています」」
たしかに「こういうときは海釣りでもバス用のほうがいい」と考えて使えるようになれば、釣りはもっと楽しくなるに違いない。