水面でルアーを操って食わせるトップウォーターゲーム。
一般的には、高活性のバスに対して有効な手段というイメージが強い。
しかし、その真逆ともいえる状況でも効果を発揮することがある。
実際に赤松健は、スレきった低活性のバスに対してあえてトップウォータールアーを投入して厳しい状況を打破したことが幾度もあるという。
それまで食わせるための釣りに反応しなかった魚が、水面にトップウォータールアーを投入した瞬間、突如としてバイトしてくる。
なぜ、そんなことが起こるのか。
その選択の根底にあるのが、師・村上晴彦から教わった
「半水面」
という考え方だ。
【すべてが見えにくい半水面】
村上が考える「半水面」とは、水面と水中が交わる境界面を利用し、魚にルアーを見切られにくくするというものである。
たとえばトップウォータールアーは、ボディの一部が水面上へ出ているものが多い。
魚はそのルアーを下方からしか見ることができないので、全体像を把握しにくい。
さらに、水面の反射や波によってルアーのサイズや輪郭も曖昧になる。
そのため、スレたバスであっても違和感を抱きにくく、口を使ってしまうのではないか。
赤松はこの「半水面」という考え方を知って以降、バスを追い続けるなかで、その本質を少しずつ実感していった。
そして、
・水面特有の音の発生
・波紋や引き波
・ラインが魚のレンジへ侵入しにくい
こうした要素も魚の反応を引き出せる理由ではないかと考えるようになったという。

【魚の興味を引く音】
まずは音。
水面は、空気と水が接する唯一の境界面である。
ここでは水中では生まれない特別な音が発生する。
・着水音
・引き波や飛沫の音
・捕食音
赤松は、こうした水面特有の音が魚をざわつかせ、捕食スイッチを入れているのではないかと考えている。
この考えにいきついたきっかけは、テレビで見たアマゾンのピラルク漁師だった。
漁師は水面を叩き、ピラルクの幼魚が発する捕食音を再現することで魚を寄せていたという。
赤松も試しに池や湖で水面を叩き、捕食音を再現してみたところ、多くの魚が反応した。
魚にとって水面で発生する音は、
「エサがいる」
という情報なのかもしれない。
あるいは、
「仲間が捕食している」
というシグナルなのかもしれない。
真実は魚にしか分からない。
しかし少なくとも、水面で発生する音には、魚をざわつかせ、スイッチを入れる力があると赤松は考えている。

【魚の意識を引く引き波】
次に引き波。
トップウォータールアーは、水面に引き波や波紋、アクションによっては飛沫を生み出す。
赤松は、この水面の乱れそのものが魚のスイッチになっているのではないかと考えている。
実際、バスがルアーそのものではなく、引き波、飛沫に反応しているように見える場面は少なくない。
魚はルアーだけでなく、水面の変化そのものにも強く反応している可能性があるのだ。
さらに、水面は風によって波立つと、水中へ差し込む光が大きく乱れる。
夏のクリアレイクで見られる、水底へ差し込むキラキラとした光をイメージすると分かりやすいだろう。
その状況では、水面を泳ぐルアーは水中のルアーほど細かく観察されにくくなる。
魚の意識を引きながら、同時に警戒心をぼかす。
それもまた、水面が持つ力なのかもしれない。

【魚に見えないラインの存在】
最後がライン。
サイトフィッシングをしていると、魚がルアーには興味を示しているにもかかわらず、ラインが魚のレンジへ侵入した瞬間に嫌がる場面がある。
ルアーを追っていた魚が、ラインが沈んだだけで急に反転してしまうことも珍しくない。
赤松自身、そうしたシーンを数え切れないほど見てきたという。
しかしトップウォーターの場合、ラインは魚が泳ぐレンジの奥深くまで侵入しない。
魚にとって異物になりにくいのだ。
だからこそ、極端にスレた魚にもルアーだけを自然に見せることができるのではないか。
赤松はそう考えている。
サイトフィッシングで何をやっても反応しなかった魚が、水面のルアーだけには口を使う。
その理由のひとつが、この「ラインの存在」にあるのかもしれない。

【半水面の力を活かすルアー】
近年、赤松が半水面で食わせるために多用しているのは、



そして開発中の『デカペン』。

さらに『ライアミノー』の水面放置やポッピング、スレた魚に対する切り札のひとつになっているという。
トップウォーターは、活性の高い魚を狙うためだけの釣りではない。
むしろ、何をやっても反応しない魚だからこそ、水面が最後の突破口になることがある。
それは赤松健が長年バスと向き合うなかで辿り着いたひとつの答え。
水面には、水中にはない力がある。
この力にスレきったバスは騙されるのかもしれない。
