2022年、ISSEI初のバスロッドブランド「Lycoris(リコリス)」(以下:リコリス)が誕生した。
赤松健氏が立ち上げたブランドでロッドのラインナップは現在2機種。
2本とも赤松氏が基本コンセプトを立て、テストを繰り返して、完成させたものである。
ロッドの性能や特徴については、各所で紹介されているので、ここではリコリスを立ち上げの経緯と完成までの道程に迫ってみよう。
【理想を追い求めて】
赤松氏にはかねてから理想とするロッドがあった。
「世の中には高性能のロッド、良質のロッドがたくさんあります。それらと比較するのではなく、自分自身が理想とするロッドを造りたいと思っていました」
理想を追求するのだから、万人受けではないかもしれない。そのロッドが果たしてカタチにできるのかもわからない。
しかしロッドをカタチにしたいという赤松氏の想いはブレることはなかった。
その熱意が実ってロッドプロダクトがスタートすることに。
待ちに待ったプロジェクトがはじまったが、一方で期限内に理想を実現できるのか? という不安も大きかったという。
「ロッドに対する印象は人それぞれなので、私の意図をロッドビルダーがきちんと理解してくださるか、その前に私がきちんと意図を伝えられるか、擦り合わせていけるか手探りで進めていくしかなかったですね」
たしかにロッドの印象はそれを手にする者の好みや感覚によって大きく異なる。しなやかな調子のロッドが好きなアングラーから見れば、張りがある調子のロッドは「硬い」と感じるだろうし、逆もしかりである。
「張りやしなやかさなど、数値化できないことの調整をお願いすることが多いのですが、運よく、すばらしい職人さんに出会うことができて妥協することなく、ロッド造りを進めていくことができました」
ブレない想いで完成させたのが、リコリスLRC-78HとLRC-78Mの2本である。
そして、それまで名のなかったロッドに「情熱」という花言葉を持つ「リコリス」という名がつけられた。
リコリスが選ばれたのは赤松氏のバス釣りへの情熱と花言葉がマッチしただけでなく、花の色が赤であること、赤松氏のイメージカラーでもある「赤」とさまざまなことがリンクできたからだ。
※)リコリス:彼岸花の仲間の1つ
最初にこの2モデルにしたのはなぜだろうか? それは赤松氏がはじめて手がけた『AKチャター』が大きく関係していた。
「リコリスのブランドコンセプトは『岸からデカいバスを釣る』ですが、この2本は『AKチャター』の性能を最大限引き出しながら、デカいバスを釣るためのロッドです。私は『AKチャターの操縦桿』と表現しています」
赤松氏の理想をカタチにする『リコリス』。今後も妥協なきロッドプロダクトが進んでいくことだろう。